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CATEGORY - レコード作り / コラム
円の中心部と外側の音の違いについて
レコードの外周と内周で音質に差があることは、レコード好きの間では周知されていることの一つかと思われます。
具体的な理由としては、溝に刻み込まれる情報量(収録面積)の差です。レコードの内周でも外周でも、1回転に要する時間は同じです。
上の図にもあるように、円の中心部と外側では、溝の直線距離としておおよそ1.5倍の差があります。
円の中心部と外側では、溝の直線距離に伴って外側の円の方が時速も上がります。
33回転というのは「1分あたり33 1/3回転」という意味ですので
1周あたり60÷33=1.82秒かかります。1.82秒間の音のデータを違う長さの溝に刻み込むので音質に差が出るのも一目瞭然です。
上記の理由により、12インチの45回転レコードは曲を収録する面積にゆとりがあるので音質が優れていると言えます。
かつての日本の音楽(特に80年代の歌謡曲など)で、円の中心の方にバラードや静かめの曲が多いのはこのような円の性質を考慮されているのでしょう。
ミックスやマスタリング、ノイズ除去などのDTMプラグインのリリースでも有名なオーディオテクノロジー企業『iZotope』は、円の中心部と外側の音の差を比較したオーディオを公開しています。(参考記事はこちら)
ハーク・マドリーの「スターダスト」をレコードの内径と外径にカッティングしたサンプルになります。
高域、特にシンセとシンバルに注目して聴いていただけると、その差が如実に表れています。
上記を考慮して、ダイナミクスの強い曲は円の外側にカッティングするのが良いと言えます。
また、蛇足ではありますが、クラシック名曲の、モーリス・ラヴェル作曲の「Boléro」は様々な楽器を使った演奏で同じフレーズを繰り返し、静寂な始まりから盛大なクライマックスを迎えるまでに一般的な演奏で約15分かかります。
先述した理論で言えば、円の中心に向かうほど音の情報量が少なくなってくるのに対して楽曲はどんどん盛大になり音の情報量が増えていくので、レコードの構造に逆行するこの楽曲はエンジニア泣かせの一曲だという話もあります。また、レコードの構造を逆手にとって円の内側から外に向かって針を走らせる特殊なカッティング方法も存在し、「Boléro」のレコードでも採用されています。タイトルは「Boléro」の逆読みの「oreloB」!シャレが効いてますね。
配信やCDでは気づくことができなかったレコードの仕組みを知っていただき、レコードならではの特性を踏まえた上で、収録するの曲順を考慮するとより満足のいく仕上がりになります!!
Mai
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