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カッティングについて【アナログ盤の製造工程 】
アナログ・レコードは簡単にいうと、塩化ビニールを主材とする樹脂を素材に、音溝が刻まれた金型の板の間に入れ、熱と圧力を加えてプレスすることで作られます。このプレス型はスタンパーと呼ばれ、オリジナルの原版(原盤)から様々な工程を経て複製されたものがアナログ・レコード(ヴァイナル)となります。
ラッカー盤から作成する、通常のプレス工程は以下
1. 音源を、アルミニウム板にラッカーコーティングした「ダブ・プレート」にダイヤモンドやサファイア、ルビーなどの針のカッティングマシンで刻み付け、原盤「ラッカー」 を作成。
2.「ラッカー」そのままでは耐久性に乏しいので、表面に銀メッキを施しその上に更にニッケルメッキを厚く施した上で剥離する。こうして出来た凸型の金属盤が「メタルマスター」(metal master) で、これが保存用のマスターディスクになる。
3.「メタルマスター」に厚い銅メッキを施し、ベリっと剥がすと凹型の「マザー」と呼ばれるマスター盤が完成。これは生産用のマスターディスクになる。
4.「マザー」にニッケルやクロムで厚いメッキを施し剥がし、プレス量産するに必要な凸型の「スタンパー」を作成。
5.「スタンパー」を用いてプレスを行い、この時点でレコード(凹型の溝)が完成。スタンパーは消耗品で、使い潰したら「マザー」からまた新しいスタンパーを作成。
6.はみだしたビニライト周囲を裁断してきれいな円状に整える。
さて、通常のレコード工程を説明してきましたが、ここから我々が推奨するダイレクト・メタル・マスタリング(DMM)について紹介したいと思います。
ダイレクト・メタル・マスタリング (Direct Metal Mastering, DMM) とは、ドイツのテルデック社とノイマン社が80年代初期に開発した音質向上技術のひとつ。超音波を当てながらカッティングを施した銅円盤をそのままマザーとして用いる方式で、ノイズ低減はもちろん通常のカッティング工程より収録時間を10%増加などのメリットがあります。
当社指定のプレス工場では、1985年にDMM技術を取り入れいち早くメイン使用技術として活用しました。そして、2010年GZは新たなヴァイナル・ヴィジュアル・マスタリング・システムを発表、今後におけるDMMの改善開発に向けて続々と取り組みを進めております。
ラッカー・マスター盤からスタンパーを製作する過程には、それぞれメッキ作業が介入し音質劣化をもたらす要因となっていました。DMMでは銅板のマザー・マスター盤に直接溝を刻み、従来の伝統的技法のラッカー盤からの作成と比較して2つ工程少ないことから高音域のロスが少ない事が特徴となっており、ノイズが低減されてカッティングによるプリエコーも少なく、さらに収録時間が約10%増加するメリットがあります。よってDMMにおいては、プレス・レコードで最もコストがかかる金型スタンパーの製作工程が省け、そしてなによりこのDMMでレコードを作成すると高音質になるということです。DMM方式による利点としては、バックグランドノイズの減少、ゴーストの除去、トランジェント特性の向上が格段に上がります。
…ざっと、専門的な用語も交えて書きましたが、要は工程もシンプルになり、クオリティもアップして、コストを抑えられるという優れた技術ということです!
もちろん昔からの工程であるラッカー・マスター盤を好む方もいるので、どちらが音が良いのか?ということではなく、音源または作品に適しているのかだと思います。
WOLFPAK JAPANでは、どちらの作り方でも可能なので、お気軽にご相談ください。
Ichitaro Ohara
ウルフパックジャパン・マネージャー。1980年生まれ。レコードにまつわる業務に長く関わってきた経験をもって、スムースなサービスができるよう心がけます。
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